感受性の生きている人からの感想こそが「エモ」のリソースだな、と実感した会でした。
https://twitter.com/search?q=%23きらめく一句を探すワークショップ&src=typed_query&f=top
このワークショップでは、参加者は句作はしません。
出版されている句集から選んだ句を、「夏雲システム」というインターネット句会システムに投句、選句して読み合うという試みをしました。
オンライン句会 | 夏雲システム https://nolimbre.wixsite.com/natsugumo
各人が特選一句に2点、並選3句に各1点を入れて句を選びます。
- 月涼し生まれ変わつて会へる率 (あきやあさみ選)6点【作者】南十二国
- 夏という一字の走り出しそうな (totono選)6点【作者】神野紗希
- ロボットも博士を愛し春の草 (あきやあさみ選)4点【作者】南十二国
- おじぎ草こっちはおじぎしない草 (冴木選)4点【作者】木田智美
- お雑煮のお餅ぬーんと伸ばし食ふ (あい選)4点【作者】西村麒麟
- ふけたねと笑いし奴の忌の椿 (totono選)4点【作者】池田澄子
- つなぐ手や冬の夜空の明るさに (ezotanu選)3点【作者】越智友亮
- 挨拶は花束と似て春の森 (十月選)3点【作者】佐藤文香
- レモンティー雨の向こうに雨の海 (十月選)3点【作者】太田うさぎ
- とは云え牡蠣のスウプお代り兄死後の (冴木選)3点【作者】金原まさ子
- 叩く叩く見る叩く見るごきぶりを (しろみ選)2点【作者】松本てふこ
- 煮凝りの中に眠たき王都かな (ゆとり選)2点【作者】箱森裕美
- ちょんちょんぱっちょんちょんちょんばっ冬雀 (いぶき選)2点【作者】常盤優
- 秘密告ぐるほかなき蚊帳の狭さかな (ささめ選)2点【作者】佐々木紺
- 落梅を拾って嗅いで投げて帰る (その選)2点【作者】池田澄子
- 落ちながら謀反のにほふ白椿 (ささめ選)2点【作者】佐々木紺
- 春休み郵便受の裏に人 (しろみ選)1点【作者】斉藤志歩
- 海老曲がる母の天ぷら秋の雨 (その選)1点【作者】西村麒麟
- 星澄みて冬のようなり自転車漕ぐ (ezotanu選)1点【作者】越智友亮
- 恋猫の赤鉛筆を転がせり (あい選)0点【作者】山岸由佳
- わがままの重さくらゐの室の花 (ゆとり選)0点【作者】土井探花
- 啓蟄の世に出づるこゑこここここ (いぶき選)0点【作者】常盤優
歳時記こそ買っては見たものの、兼題(けんだい:句会のお題となる季語)の周りしか読めていませんでした。
ましてやあまたある句集を選ぶとなると、雲を掴むよう。
句集を読み比べて選ぶといった発想もなかったので、スーツケースいっぱいの句集を担いできてくださったお手間のありがたいこと!
このワークショップならではの試みとして、スマートフォンを鍵のかかるボックスに預けた上で1冊の句集を「これ」と定めて読むのが、一層集中を高めてくれました。
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ほかの方の感想を聞くうちに色々思い出されたものも多かったので、ここに書き留めておきます。
2. レモンイエロー、グレー、アクア、ネイビーと水滴のイメージ
→銀色夏生 『好きなままで長く』 (1997/角川文庫) Kindle版
5. 牡蠣のスウプ
→レシピが大量にあるけれど、ひとまず 牡蠣とほうれん草のクリームスープ
8. ぬーんと伸ばされるお餅
→朝食でも夕食でもない気がする… noonだからかΣ
13. 煮凝り
→理系すぎるお料理レシピ:第18回「鯛の煮こごり」
15. 蚊帳と秘密の親和性
自分にとっては、文字列の外観(画数、文字種のわりあい、文字列の長さ)、区切れ、音読したときのリズム、句作の技巧を分析するのが、句を読む楽しみの今のところ最たる部分です。
分析が楽しみだというのに、次の句の「室(むろ)の花」(温室の花)という語彙を知らないがゆえに区切れがわからず、もののみごとに撹乱されてしまいました。
3. わがままの重さくらゐの室の花
ひらがなで並べられた「さくら」と「ゐ(うぃ)」に目をうばわれ、まったく文意を汲めないという。
櫻井ともなにか掛けてあるのだろうか?
ワガママの重(じゅう)?かさね?
表現を潰して漢字に置き換えると
我儘の重さ位の 室の花
これでようやく「位(くらゐ)」が意識できるようになりました。
技巧大好きだと自作をこう作り込みたくなるけれど、無名の個人は読み解く手がかりを提供しようがない。一読で文意が通らない自作は非公開にとめおかないと。(手帳のメモが大体そう)
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情緒を受け取るためには、内面がやわらかくないと、波紋を広げることも響くこともままならない。
キラキラきゅんきゅんぞわり、言ってもらうとようやくわかるくらいですが。
体調が良ければもっと伸び伸びするはず。養生養生。